育児ノイローゼの原因や症状

育児ノイローゼの症状と原因、心療内科の受診で変わるもの

育児ノイローゼはどんな人でもかかる可能性があり、決して他人事ではありません。心や体の不調があり「もしかして育児ノイローゼかも」と感じたら、早めの対応が大切。そのためにも育児ノイローゼの症状や原因、心療内科の受診方法を知っておきましょう。

育児ノイローゼの症状と原因、心療内科の受診で変わるもの

育児ノイローゼかも知れない…他人事ではない育児ノイローゼとどう向き合う

核家族が8割にも及ぶ日本においては、ママが不安や孤独感、ストレスと日々向き合いながら子育てを行っています。地域との関係性も薄れているため、悩みや苦しみを理解して助けてくれる存在が減り、育児に対する負担をひとりで抱え込んでしまうママは決して少なくありません。さらに、そのような環境が育児ノイローゼに追い込み、育児に携わる全てのママを苦しめてしまいかねない悪循環を生んでいます。

厚生労働省によると子育て経験者の50%近くが「育児ノイローゼかもしれない」と思ったことがあるという調査結果があり、育児ノイローゼは誰でもかかる可能性を有し他人事ではありません。

決して楽ではないし、楽しいことばかりではない日常的な子育てですが、心から笑顔で子育てができるように、育児ノイローゼはどのようなものなのか知って、予防や解消を図ることが大切です。

当てはまる症状は?育児ノイローゼの症状をチェック

泣き止まない子供に困るママ

育児ノイローゼになると、精神的にも身体的にも変化が現れます。育児は不安や苦労の連続なので、子どもに対して否定的な感情を抱いたり、一時的に気持ちが不安定になったりすることは誰にでもあることです。

しかし、心身に負荷がかかった状態があまりにも長く続いてしまう場合は、育児ノイローゼの可能性を疑ってみたほうがいいでしょう。

育児ストレスもう限界…自分を受け入れるストレス解消方法
育児ストレスもう限界…自分を受け入れるストレス解消方法
育児ストレスの原因は子どもが言うことを聞かない、1人の時間がない、物事が思うように進まないなど様々です。ストレスのもとになっている不安や孤独を認識し、そこから解放されるための方法を見つけ出しましょう!

こんな症状が続くと育児ノイローゼかもしれません

  • やる気が起きない、楽しめない
  • 気分が落ち込んで表情がない
  • 思考能力が落ちてボーッとしてしまう
  • 食欲が落ちる、反対にやたらと食べてしまう
  • 寝つきが悪い、朝早く目覚めてしまう、熟睡できない
  • わけもなく涙が出る
  • 肩や首がひどくこる、頭痛、動悸などの不調がある
  • 些細なことでイライラして感情のコントロールができない
  • 子どもと関わりたくない、可愛く思えない
  • 育児をしたくない、赤ちゃんが泣いても反応できないなど

育児ノイローゼとはこんな状態を指します!

ノイローゼとはドイツ語で「神経症」を表すものです。育児ノイローゼは「子どもが泣きやまない」など日々感じる子育てのストレスが積もって、心や体の不調を感じる状態のことを指します。どこからが育児ノイローゼに当たるのか明確な線引きを行うことが難しいため、自分の心の状態と向き合って「育児ノイローゼかもしれない」と敏感に感じ取ることが大切です。

自らに起こった異変に長期間自覚できないケースでは、育児ノイローゼの深刻化を招き、虐待につながってしまうこともあります。

育児ノイローゼの原因

育児ノイローゼの原因は様々なものが考えられます。産後はホルモンバランスの変化によって不安や孤独を感じやすくなっている上に、現代の日本では核家族が増えていることで頼れる大人が近くにいないことが要因の一つではないかと考えられています。

さらには本人の性格、子育てをする環境、子どもの年齢なども深く関わっています。日本のこのような状況では、今後さらに育児ノイローゼにかかる方が増加していくのではないかとも言われています。

完璧主義や几帳面すぎる子育ては要注意!育児ノイローゼになりやすい性格

いくら片付けても散らかる部屋

育児ノイローゼにかかりやすい性格があると言われています。完璧主義、几帳面、責任感の強さなどがあげられますが、一つ注意したいのが決して性格がダメだというわけではありません!例えば仕事ではプラスに働くことがあるかもしれません。

しかし永遠に続くのではないかと思ってしまうほど苦労が何度も降りかかってくる育児においてはこれらの性格が自分を追い詰めてしまうことがあるのです。限界を超えてしまったときに、育児ノイローゼとして心や体に不調が現れてしまいます。

完璧主義が過ぎる人

出産前から子育ての理想が高く、子どもをきちんと育てなければならないと強く思うなら、理想から外れてしまうことがストレスとなってしまいます。

子どもが言うことを聞かない、周りと比べて成長が遅い、家が汚れている、家事ができていないなど、思うように育児や家事ができないフラストレーションが蓄積していくと、完璧に物事を進められない自分を責めてしまう傾向にあります。
手を抜くことも許すことができず、一時保育や親に頼ることも許すことができない方もいます。

几帳面な人

子育ては答えのない回答をひたすら模索しているようなものであるとも言えます。
掃除や洗濯もいったん始めたなら、隅々まできれいにこなしたいという傾向がある人の中には、「まぁよし!」「だいたいOK!」というざっくり認める価値観をなかなか持てない人もいます。子どもの体重がきちんと増えているか、食事の栄養は足りているのかなど、心配になって毎日きちんと計測している方もいるかもしれませんね。

もちろん我が子のことを思って計測をしたり、掃除や洗濯をきれいに行うことは悪いことではありませんが、子育てにおいては細かいことを気にし続けてしまうことでが悪影響になってしまう場合もあります。

子どもが元気に成長してくれるか、自分の子育てがこれで良いのか不安に思うあまりに、几帳面にひとつひとつ正しく進めようとすると、イレギュラーなことがたくさん起こる子育てでは対処しきれなくなってしまうことは多々あるでしょう。

責任感が強い人

「自分1人で完璧に子育てをしなければならない」という責任感にかられて、周りに頼らず苦労を抱えて頑張ろうとする方もいます。私たちには周りと協力しながら集団で子育てをする本能が備わっていますが、これも現代の環境には合わず、誰にも相談することなく良い母親であろうとした結果、心も体も疲弊してしまい育児ノイローゼにかかりやすくなってしまうという傾向があります。

孤独な環境

子育ての悩みを相談できないママ

育児ノイローゼを発症してしまう要因として、子育ての環境に問題があることも挙げられます。
例えば夫の仕事が忙しく協力してもらえない、両親が遠くに住んでいるのでサポートを得られない…などです。子どもと2人きりの時間が長くなればなるほど孤独を感じやすいため、このような環境での子育ての日々では、行き詰ってしまって当然と言えるのです。

夫が協力してくれない

夫が協力的な家庭はママに心のゆとりが生まれやすく、育児ストレスが軽減されるという調査結果があります。しかし、夫の仕事が忙しいと会話をして気分を変えることや、悩みを相談できる時間もできない方も多いのではないでしょうか?本来は一緒に協力して育児をする存在のはずなのに、育児の大変さを理解してくれなかったり、子育てに協力的でない場合はむしろSOSを出したくても疎ましく感じられてしまうこともあるでしょう。

それを表すかのように、育児ノイローゼになりやすいのは、社会との関わりが少ない「専業主婦の方に多い」と言われています。特に夫が仕事で忙しく、親が離れて暮らしている専業主婦の方は、子どもと2人きりで過ごす時間が長く、頼る大人がいないのでストレスや子育ての不安を1人で抱え込みやすくなります。

頼れる人が周りにいない

核家族化が進み、近所付き合いが希薄になった現代において、育児の孤立化も、大きな問題となっています。誰かに頼りたくても夫は仕事で忙しい、両親は遠方に住んでいる、近所付き合いもほとんどない環境では、孤独な子育てを強いられてしまいます。

日々の頑張りを認めてくれるような人がそばにいなければ、母親として、強いては一社会人としての自尊心すらも培われずに自信を失ってしまうかもしれません。

大人と話す機会が少ない

インターネットが便利になった現代では、買い物さえインターネット上で済ませられるようになったため外出する必要性が少なくなり、赤ちゃんと2人きりで1日中部屋の中で過ごす家庭が増えてきました。その上、ママ友を作るのも難しい現代において、気兼ねなく話をして気晴らしをする機会がどんどん失われています。

社会に出ることもない自分と子供だけの日々は閉塞的な環境になりがちです。
ある程度お話ができるようになった子供がいたとしても、子供との会話以外に他の大人との会話は子育てを担うママのアイデンティティの維持という面から見ても想像以上に大きくかかわる重要なことなのです。

子どもの手がかかる時期も気をつけて

手のかかる時期の子供

育児ノイローゼを発症してしまう時期としては、やはり子供が赤ちゃんの頃に多く見られますが、環境変化等には個人差があり、赤ちゃんを卒業してもまだまだ手がかかる幼児期にも発症しやすい危険性もあります。育児の負担が大きくなる時期は、ママの心や体の変化に敏感になる必要があります。

新生児期

新生児期の赤ちゃんは昼夜問わず数時間おきにおっぱいを求めて泣き続けます。ママの体に起きるホルモンバランスの変化や、慣れない育児に不安や孤独を感じやすくなっているため育児ノイローゼを発症しやすい時期です。出産で疲れている体を十分に休ませる時間もありません。

母乳育児をしたいと思っているママにとっては、母乳の分泌量や乳腺炎などのトラブルがきっかけで育児ノイローゼを発症してしまうこともあります。

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生後6ヶ月

生後6ヶ月になるとハイハイをし始める赤ちゃんが多く、活動範囲がぐんと広がるので今まで以上に目を離せなくなります。

離乳食が始まる時期なので、食べる量が少ない、食事に時間がかかる、食卓が汚れてしまうなど、悩みの種も一気に増えてしまいます。さらにこの時期から夜泣きが始まる赤ちゃんもいるため、疲労が蓄積しやすい時期です。

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1歳

1歳前後に歩き始める子が多く、少し目を離したすきにこけたり頭をぶつけたりするので、気が休まらない時期です。

食事も離乳食の完了期に入り、断乳をして食事から栄養を取っているお子さんも少なくありません。食事からしっかり栄養が摂れているのか、毎日の献立は正しいのか、料理に関する悩みも増えてきます。

2歳

魔の2歳児と呼ばれるように、第一次反抗期であるイヤイヤ期が訪れます。なんでも自分でやりたがったり、大人が言うことを全て拒絶する子もいます。言葉が出始めている子もいますが、上手に伝えられず欲求がうまく通らないことにかんしゃくを起こして、困ってしまう場面も多いでしょう。

「育児ノイローゼかも」と思ったら心療内科を受診しましょう

育児ノイローゼは誰もがかかってしまう可能性があります。育児ノイローゼかな?と感じたら、まずはゆっくりとひとりで過ごせる時間を持つようにしましょう。そのためには「ひとりの時間を持つこと」に罪悪感を感じることをやめて、夫、実家、託児サービスなどを頼ることが大切です。

周りの力を借りながら育児をすることは、悪いことではなく、むしろ自分だけではなく家族のためにも積極的に行いたいことです。周りに頼ることで気持ちの余裕が出れば、子どもへの関わり方や、体や心の不調も徐々に良くなっていくでしょう。

しかし、育児ノイローゼの状態が強い場合や、長期間に渡って続いている場合、本人や子どもに危害が加わりそう状態にまで追い込まれているのなら、迷わず心療内科を受診しましょう。育児ノイローゼは初期段階で対応を行うことで治りが早くなると言われているため、「育児ノイローゼかもしれない」と思ったときに心療内科へ行く勇気を持つことが大切です。

育児ノイローゼを病院で治す。治療方法

心療内科に子育ての相談をするママ

育児ノイローゼの治療では症状に合わせて投薬治療が行われます。必要に応じてカウンセリングを受ける心療内科もあります。

育児ノイローゼの診断名

育児ノイローゼという言葉は育児によって生じた神経症の総称であり、正式な病名ではありません。症状によって、うつ病、自律神経失調症、不安障害不安神経症、心身症などといった診断名がつきます。

投薬治療

症状に合わせて精神安定剤や抗うつ剤、睡眠導入剤などの薬が処方されます。投薬治療によって心が落ち着くと、今まで感じていた体の不調が楽になることが多いです。
眠れない症状がある方は、精神症状を悪化させる大きな要因です。睡眠導入剤によって快適な睡眠が得られると、症状が軽快することもあります。

投薬中は子どもの泣き声でママが目を覚まさなくてもいいように、別室で寝るようにするなど家族の協力も必要です。

カウンセリング

育児ノイローゼのカウンセリングでは、育児をしている環境や、家族、本人の性格などを話すことで心の問題を解決していきます。

育児ノイローゼで悩んでいる方の幼児期の心理からカウンセリングが行われることが多く、自分でも気付かない辛い心の部分をカウンセラーと共に開くことで、育児ノイローゼの改善につながることがあります。

受診の際はご家族も一緒に

育児ノイローゼにかかった場合、治療を進めるには家族の理解と協力が必要です。受診をするときに付き添って貰えれば、本人が訴えるよりも症状を理解してもらいやすく、医師の言葉を家族が聞くことで、症状を受け入れやすくなり、今後の関わり方やサポートに良い影響を及ぼすでしょう。
症状が重たい場合は判断力や思考力が鈍っているため、自分で考えていたよりも病状が重たい場合もあります。そのときは入院治療の可能性もあります。

病院の選び方

心療内科について調べるママ

臨床心理士がカウンセリングを行う病院、精神科医がカウンセリングとして精神療法を行う病院、カウンセリングを受けられない病院など、病院によって診療形態が異なります。

カウンセリングを受けるかどうかで医療費も大きく変化しますが、どのような治療を望むかによって病院の選び方が変わってきますので、受診する前に前もって病院の形態や評判を調べておくと良いでしょう。

産婦人科や小児科で相談してみても

産後すぐに育児ノイローゼにかかった方は、産後うつの可能性も考えられます。ほとんどの産婦人科では、産後うつのケアを行ってくれます。母乳外来や赤ちゃん健診などを行うタイミングで相談してみてもいいかもしれません。

小児科でも育児に関する悩みをフォローしてくれる病院もあります。お子さんの成長で心配なことがあれば、定期健診などで医師に質問してみましょう。

育児ノイローゼかな?と感じたら早めに対処を!

育児ノイローゼは誰でもかかる可能性があり、他人事ごとではありません。育児ノイローゼを解消するには、育児を一人で抱え込まずに、周りに頼りながら育児ストレスを溜め込まないことが大切。周りに頼る人がいない場合は、子育て支援センター、子育てホットライン、保健所などに相談してみるものいいでしょう。

心や体の不調を感じ、育児ノイローゼかもしれないと思ったら早めに対処することも重要。自分自身と大切な我が子を守るためにも、勇気を出して一歩を踏み出してみましょう。心を打ち明けることで、たくさんの人が支えになってくれるでしょう。