帝王切開は母乳が出にくい?

帝王切開は母乳が出にくい?手術後の母乳育児のポイント

帝王切開後に母乳が出ないと悩んでいる方や手術を控え母乳育児ができるか不安に感じている方へ、母乳が出る仕組みを解説しながら、帝王切開後の授乳はいつからできるのか、負担のない授乳姿勢や母乳が出ない時の対策をご紹介します。帝王切開でも、母乳育児は可能ですから、心配はいりません!

帝王切開は母乳が出にくい?手術後の母乳育児のポイント

帝王切開で出産すると母乳が出にくくなる?

母乳で赤ちゃんを育てたいと考えているママにとって、母乳の出が悪いのは大きな悩みです。
特に、帝王切開で出産した、あるいはこれから手術予定のママは、

母乳が出ないのは帝王切開が原因では?
帝王切開だとやっぱり母乳が出にくいのでは?

と、不安になりがちです。

今回は、母乳の出る仕組みを解説しながら、帝王切開による出産と母乳の関係を詳しくご紹介します。さらに、母乳が出ない時の対策についてもまとめてみました。

母乳が出る仕組み~帝王切開でも母乳は出ます!

抱っこしてる赤ちゃんのホッペにキスするママ

帝王切開での出産後、母乳育児につまずきを感じている人は少なくありません。しかし、母乳が出る仕組みを見ると、「帝王切開だから母乳が出ない」ということは考えられないため、これから帝王切開の手術予定の方も、母乳育児をあきらめる必要はないでしょう。

母乳はいつから出る?スイッチは「胎盤の排出」にあり!

母乳を生成するプロラクチンは、妊娠直後から分泌量を増やしますが、同じく妊娠すると分泌されるプロゲステロンやエストロゲンといったホルモンに働きを抑制されています。そのため、妊娠中は乳房が発達しても、母乳はほとんど分泌されません。

母乳を生成するプロラクチンの働きを抑制していたホルモンは、分娩で胎盤が排出されると急激に減少し、オキシトシンという母乳分泌を司るホルモンも働き始めます。そのため、胎盤が体外に出ることで、スイッチが切り替わったように母乳が出てきます。

帝王切開では、自然分娩よりも出血が多くなりやすく、傷の痛みで早期の授乳開始が難しいことから、母乳の出始めが遅くなる可能性はあります。
しかし、胎盤が出てしまえば自然分娩と同じように母乳は作られています。

母乳を出すために大切なこと

母乳が出る仕組みには、出産後に分泌される「プロラクチン」と「オキシトシン」という体内ホルモンの働きが関係しています。これらのホルモンは、帝王切開でも自然分娩と同じように分泌されます。

プロラクチンは母乳を生成するホルモン。作られた母乳を乳管に送り出すのがオキシトシンです。この2つのホルモンは、赤ちゃんに乳首を吸ってもらうことで多く分泌されます。

そのため、出産直後は母乳が出ないと思っていても、赤ちゃんに乳首を刺激してもらうことで出るようになったという人が多くいます。

帝王切開の場合、産後は母体の回復が最優先なので、産後すぐの頻回授乳が難しいのは確かです。しかし、傷の痛みが落ち着いてから、あきらめずに授乳し続けると、母乳は作られるはずです。

慣れないうちはうまくいかないこともありますが、焦らずに授乳を続けていきましょう。赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらうことにより、量も増えていきます。

帝王切開後の母乳育児の始め方

帝王切開で出産しても、母乳を出すのに必要なホルモンは分泌されます。しかし、赤ちゃんが乳首を吸う刺激がなければ、母乳は増えません。

帝王切開による授乳開始の遅れや、授乳回数の少なさが母乳の出を悪くしているのも事実です。帝王切開後の母乳育児の流れできるだけスムーズに授乳するための方法をご紹介します。

帝王切開は術後いつから母乳をあげられる?

産んだばかりの保育器に入ってる赤ちゃんを見つめるママ

帝王切開後に授乳を開始するタイミングは、予定帝王切開か緊急帝王切開か、また、産院によっても方針が異なります。出産翌日から授乳を開始するケースもあれば、産後5日目からという産院もあります。

帝王切開後は、母体の回復を優先するため、どうしても授乳開始が遅れてしまいがちです。「できるだけ早めに授乳したい」という希望がある場合には、バースプランとしてあらかじめ産院に相談しておきましょう。ママの回復状態はもちろん考慮しなくてはいけませんが、授乳開始の日程を相談できる産院もあります。

バースプランの書き方~初産・経産婦・帝王切開の記入例100
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麻酔や痛み止めは母乳に影響しないの?

帝王切開による出産は手術ですので、麻酔が必要になります。そこで心配なのが、麻酔の成分が母乳に与える影響です。

麻酔には、局所麻酔と全身麻酔があります。局所麻酔は母体への影響が少なく、赤ちゃんに与える影響はほとんどありません。全身麻酔は、母体の血液中に含まれる薬の量が多くなるため、出産直後や当日の授乳は難しくなります。しかし、薬の影響がなくなれば、母乳を介して赤ちゃんに影響が出ることはありません。

手術後に痛み止めを使うことを不安に思うママも多いですが、通常用いられる薬であれば、赤ちゃんへの影響はほとんどないと考えられています(注1)。痛み止めを上手く使いながら、リラックスして授乳することが、赤ちゃんにとってもよいことです。

帝王切開の麻酔とは?全身麻酔・局所麻酔の種類と副作用
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帝王切開後の授乳姿勢のおすすめ

帝王切開で出産した場合は、横になりながら授乳する「添い乳」や、赤ちゃんを脇にかかえる「フットボール抱き」など、体に負担のかからない授乳姿勢がおすすめです。赤ちゃんがお腹を蹴らないよう、枕やクッションでカバーすると良いでしょう。

帝王切開での出産直後は、起き上がるのも一苦労。そんな中、赤ちゃんを抱っこしたり、授乳したりとお世話をするのはとても大変です。看護師さんや家族の手助けを受けながら、安全に赤ちゃんのお世話ができるようにしましょう。

授乳姿勢をマスター!赤ちゃんもママも快適な基本の抱き方
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帝王切開後の授乳は無理をしないこと

赤ちゃんに哺乳瓶でミルクをあげるママ

添い乳をしたまま寝てしまうと、赤ちゃんの鼻や口をふさいでしまうこともありますので、特に夜間の授乳は無理をしないようにしましょう。
ストレスや疲労は母乳の出を悪くしますので、自分の回復状態を見て、授乳回数は調整してください。

痛みが強い時、体調が優れない時には、搾乳した母乳を赤ちゃんに飲ませるという方法もあります。出産直後から搾乳をして乳首に刺激を与えるのは、母乳の生成にも良いことです。産院の方針やアドバイスを受けながら、最良の授乳方法を探しましょう。

帝王切開後に母乳が出ない時の対策

帝王切開では、多量の出血や傷の痛みが、母乳の出を悪くする要因となっています。ここでは、帝王切開での出産後に母乳が出ない時の対策をご紹介します。

搾乳をする

母乳の出を良くするには、授乳回数を増やし、赤ちゃんに乳首を刺激してもらうのが効果的です。しかし、帝王切開で出産したママは頻回授乳が難しい場合もあります。そんな時は、搾乳で乳頭を刺激し、母乳の分泌を促すのも一つの方法です。

また、おっぱいマッサージを試してみるのも良いでしょう。ただし、搾乳やおっぱいマッサージは、方法を誤ると逆効果になることもありますので、助産師さんや母乳外来に相談しながら行うようにしましょう。母乳育児に不安を感じるママは、かかりつけの母乳外来を見つけておくと安心です。

母乳外来とは?母乳育児の味方「母乳外来」の費用と利用方法
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水分をたくさん摂る

水を飲んでるママ

帝王切開での出産は出血量が多くなりがちです。母乳はママの血液からつくられているため、血液を作り、母乳を生成するためには多くの水分が必要になります。

1日600~1000mlの水分を母乳に奪われている授乳中は、特に多くの水分が必要となります。成人が1日に必要な水分量は、体重1kgに対し50mlといわれており、授乳中はプラス1ℓが摂取の目安です。

食事にも水分が含まれているため、全てを飲み物から摂る必要はありませんが、のどが渇く前にこまめな水分補給を心掛けましょう。

食事に気を付ける

授乳中は、通常よりも1日350kcalのエネルギーを多めに摂取することが望ましく(注2)、ママがしっかり食事をしないと、母乳を作り出すエネルギーが不足してしまいます。妊娠前の体重に戻したいと考えているママも、無理なカロリー制限はせず、バランスの良い食事を心がけましょう。

貧血を予防するために、鉄分を多く含む食材を取り入れたり、血液の循環を良くする食べ物を摂ることも対策の一つです。

母乳にいい食べ物&避けたい食べ物|いいおっぱいが出る食事
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体を冷やさない

血行が悪くなると、母乳の出が悪くなります。体を冷やすと血行が悪くなるため、夏場でも、エアコンの設定温度や服装に注意し、体を冷やさないようにしましょう。また、冷たい飲み物や食べ物は内臓を冷やしてしまいます。できるだけ常温か温かいものを口にするよう心がけましょう。

ストレッチや入浴で体を温めると血流が良くなりますが、帝王切開後の無理は禁物です。

しっかり体を休める

赤ちゃんと一緒に寝てるママ

母乳の出具合には、ママの精神状態も大きく関わっています。出産・育児による疲れやストレスが血行を悪くし、母乳が出ない原因となるのです。産後はしっかり休息を取り、出産でダメージを受けた体の回復をはかりましょう。

母乳に比べてミルクの栄養が劣るわけではありません。母乳が足りない時にはミルクを足しながら、ストレスのない育児をすることも母乳の出を良くする方法の一つです。

帝王切開後に母乳育児をした体験談

焦らず自分のペースで!

佐々木ありさ(30歳)


予定帝王切開でしたが、事前に母乳育児を希望していました。でも、産後はできるだけ早く授乳した訳でもありません。というか、傷の痛みで、そんなこともまで頭が回らなかったというのが正直なところです。

産後3日ぐらい経ってから授乳をしましたが、一応にじむ程度には出ているものの、赤ちゃんを満足させられるような量では到底なくて、毎回ミルクを足していました。結局、入院中はほぼ毎回ミルクを足して、「このまま混合になるのかな」と思っていました。

ですが、自宅に戻ってからも一応授乳は続けていると、母乳は少しずつ増えるように。産後3ヶ月ぐらいで軌道に乗って、ミルクは足さなくても済むようになりました。体質もあるとは思いますが、とりあえず授乳は続けると良いみたいです。

まずは自分の体調を整えて

新村理沙(28歳)


母乳育児をしたいと思っていましたが、陣痛で10時間苦しんだあげく、最後は緊急帝王切開に。

母子同室の病院だったので、産後はできるだけ授乳をしようと思ったのですが、私の貧血がひどいため、夜は預けることになりました。看護師さんに「入院が長引いたら困るでしょ?まずはお母さんの回復を優先させるのが赤ちゃんのためでもあるんだよ」と諭されました。

母乳が出てきてると実感したのは、2週間ぐらい経ってからです。そのころは、出産のショックも和らぎ、私の体調もだいぶ整っていました。あの時、看護師さんの言う通り、体調回復を優先したのが良かったんだと思います。

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