離乳食のアレルギー対策

離乳食でアレルギーに要注意な食材リスト・リスクを軽減する進め方

離乳食で赤ちゃんにとってアレルギーとなりやすい食材と離乳食の進め方を紹介。食物アレルギーは、肌の赤みやかゆみ、湿疹など、皮膚に異常が現れるため要観察です。赤ちゃんが食べることを好きになれるように、注意をしていきましょう。

離乳食でアレルギーに要注意な食材リスト・リスクを軽減する進め方

離乳食を始める時はアレルギーに気をつけよう

離乳食を始めるにあたり、心配になるのが赤ちゃんが食物アレルギーを発症するかどうかという点です。親として、アレルギーを発祥しやすい食べ物は事前に知っておくようにしましょう。

離乳食を与える際にアレルギーに注意したい食材

緑色の離乳食

厚生労働省が実施した平成27年度乳幼児栄養調査によりますと、8割以上の赤ちゃんが生後5~6ヶ月に離乳食を開始しています(注1)。

今までミルクやおっぱいだけを飲んでいた赤ちゃんが食事に挑戦するわけですから、食材選びや調理法には、当然注意が必要です。
食物アレルギーに配慮した、離乳食の食材選びについて解説します。

離乳食で特に注意するべき食材

アレルギーはどんな食材でも起こる可能性がありますが、発症例の多い食材・発症例は少ないが重篤な症状になりやすい食材が存在します。

食物アレルギーの『7大アレルゲン』とは?

食物アレルギーを引き起こす原因となる食材としては、卵、牛乳(乳製品を含む)、小麦、そば、落花生(ピーナッツ)、えび、かには特に注意すべき食材とされており、7大アレルゲンとも呼ばれています。

卵と牛乳(乳製品)、小麦は食物アレルギーの症例数が多く、そばや落花生はアレルギー症状が重篤になることが多く、消費者庁により商品表示が義務付けられています(注2)。

成分表示が義務付けられている食材

卵、乳および乳製品、小麦、落花生、えび、そば、かに

赤ちゃんにとっては、卵・牛乳・小麦が3大アレルゲン

中でも、離乳食期をの赤ちゃんにとって注意が必要なのが卵・牛乳(乳製品)・小麦で、特に鶏卵は0歳児の食物アレルギーの約60パーセンチ、1歳児の約45%を占めています(注3)。

反対に、7歳以上の学童期以降は、卵アレルギーを発症する割合は減少傾向にあり、その代わり、甲殻類やそばなどのアレルギーが増える傾向にあります。

その他の注意すべき食材

7大アレルゲンの他にも、アレルギーを引き起こしやすい食材は、消費者庁により、成分表示することが推奨されています。

残念ながらこちらは、義務ではありませんので、記載がない場合もありますが、加工食品を購入するときは確認してみましょう。

成分表示推奨されている食材

いくら、キウイフルーツ、くるみ、大豆、カシューナッツ、バナナ、やまいも、もも、りんご、さば、ごま、さけ、いか、鶏肉、ゼラチン、豚肉、オレンジ、牛肉、あわび、まつたけ

推奨されている食材をみると、バナナやリンゴ、オレンジ、ももなど、赤ちゃんの離乳食に取り入れやすいと考えられがちな果物も多く含まれています。

果物による食物アレルギー発症の件数自体は少ないですが、果物や野菜などもアレルギーの原因物質となり得るという点は理解し、初めて与える際は、他の食品と同様に、少量ずつ与えてください。

林檎とバナナのイラスト

アレルギーではないが、注意が必要な「はちみつ」

アレルギーのリスクとは別に、1歳未満の赤ちゃんには、絶対にはちみつを与えてはいけません。健康的なイメージが強いはちみつですが、中にポツリヌス菌が入っている可能性があり、消化機能が不完全で抵抗力の弱い1歳未満の赤ちゃんが食べてしまうと、「乳児ポツリヌス症」を発症する恐れがあります。

はちみつが含まれた食品は、例え加熱調理済みのものであっても食べさせないようにしてください(注4)。

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アレルギーのリスクを軽減する離乳食の進め方

アレルギーのリスクを抑えるための、離乳食の進め方を解説します(注5)。

食物アレルギーは、遺伝などの体質も影響しますが、どんな赤ちゃんでも発症する可能性があります。そのため、離乳食を進める際には、赤ちゃんの体に過剰な負担をかけないように月齢に応じた食品を与え、経過を慎重に観察する必要があります。

離乳食初期(生後5~6ヶ月)

離乳食を開始して1ヶ月程度は、1日1回の離乳食が基本です。スプーンで食べること、食べ物の味や匂いに慣れさせるための時期ですから、栄養面はあまり気にしなくて構いません。

栄養面は気にせずに1種類ずつ試そう

10倍がゆや人参をヨーグルト状にすりつぶしたものから食べさせます。
新しい食材を試すときは、1さじずつ、1日1種類までにして、病院受診の可能性も考えて、平日の午前中に与えるのがオススメです。

タンパク質は早くから食べさせる必要はない

離乳食の本などでは、離乳食初期に白身魚は食べさせても良いとされています。ただし、白身魚はリスクが少ないとはいっても、タンパク質を多く含む食品です。

食物アレルギーは、食品の中のタンパク質がアレルゲンとなりますので、血縁者に重度のアレルギー体質の方がいる場合は、体への負担を考えて、まだ食べさせないという選択もありです。初期は食事に慣れることが目的ですので、焦って食べさせる必要もありません。

食べさせる場合は、お米や野菜などに慣れてから、カレイやひらめなどが脂肪分も少なく、胃腸への負担も小さい魚を選びましょう。新鮮なお刺身を購入し、ゆでてすりつぶせば、調理も簡単なのでオススメです。

カレイの刺身

食事日記をつけよう

離乳食を作るときは、食事日記をつけておくことをオススメします。もしも湿疹や肌の赤み、嘔吐などのアレルギー症状が出たときでも、食事日記を書いているならどの食材が原因になったのか予想がつきやすくなります。

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離乳食中期(生後7~8ヶ月)

食事回数が2回に増える離乳食中期は、徐々に食事から摂取する栄養も増えてくる時期です。食材のレパートリーも増やして、赤ちゃんに食事の楽しみを覚えてもらいましょう。

脂肪分の少ないお肉は解禁

白身魚に慣れてから、鶏ささ身肉など、脂肪の少ないお肉を食べさせましょう。ちなみに、鮭は白身魚にあたります。カレイやひらめ、鮭の後に、鶏ささ身に挑戦するのが理想的です。

卵は卵黄の固ゆでからスタート

離乳食のレパートリーも増やして、卵は卵白部分にアレルギー反応を示す人が多いので、まずは卵黄から食べさせます。硬く茹でて、おかゆやゆで野菜と一緒に食べさせましょう。

卵黄が食べられたら、次は卵白に挑戦します。全卵を使った料理やマヨネーズなどは、卵黄も卵白も食べられてからの生後10ヶ月過ぎから開始するようにしましょう。

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離乳食後期(生後9・10・11ヶ月)

1日3回食に映る離乳食後期は、鉄不足に注意し、赤身の魚や肉、チーズなどの食品にもチャレンジしましょう。

赤身魚→青魚の順番で!

離乳食初期から白身魚は食べさせてOKですが、その後は、赤身魚(例:まぐろ・ぶり)→青魚(例:さば・あじ)の順に進めていきましょう。鉄不足を解消するためにも、赤身の肉や魚、フォローアップミルクを与えてください。

お肉は、脂肪分の少ないもも肉など選ぼう

牛肉や豚肉など、しっかりと加熱調理して線維を細かく切っておくなら、そろそろ離乳食に加えることができます。

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離乳食完了期(1歳~1歳6ヶ月)

離乳食が完了する1歳過ぎは、大人と同じような食事内容になりますが、リスクの高い食品は、引き続き注意が必要です。

カニやエビなどは完了期の終盤に

カニやエビなどのアレルゲンになる可能性の高い魚介類は、離乳食を完了する生後1歳6カ月ごろからは食べさせてもOKですが、最初は少量のみにとどめてください。もちろん、しっかりと加熱することと新鮮なものを選ぶことは大原則です。

加工食品は1歳以降に

ソーセージやハムなどの加工食品は離乳食完了期ごろから取り入れる方が良いでしょう。ソーセージやハムは加工してあるものですが、生の肉類と同じく、しっかりと加熱してから食べさせます。

ハムとソーセージのイラスト

あくが強い食べ物も離乳食完了期から

ヤマイモやレンコンなどのあくが強い食べ物も、離乳食完了期ごろから食事に取り入れていくことが可能です。やはり少量が原則ですので、素揚げやミートボールなどのつなぎなどに使うことから始めてみましょう。

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重篤な症状を引き起こす食材は生後2歳を過ぎてから

特に重篤なアレルギー症状を引き起こす可能性がある「そば」や「ピーナッツ」などは、2歳過ぎてから食べさせる方が良いでしょう。焦って食べさせる必要もない食材です。

アレルギーっ子の離乳食は焦らなくてOK

上記で紹介したのは、あくまで一般的にアレルギーを防止するための離乳食の進め方に過ぎません。
アレルギーは遺伝も関係しますので、パパやママなど血縁者に重度のアレルギー体質の方がいる場合は、医師などに相談しつつ、もっと慎重に離乳食を進めても構いません。

食物アレルギーがあったとしても、乳児期のアレルギーは完治することも多いので、気持ちを楽にして食物アレルギーと付き合っていくようにしてください。