赤ちゃんのO脚について

赤ちゃんのO脚が自然に治る時期は?月齢毎の脚の成長

赤ちゃんの脚は基本的にO脚です。「この脚がいずれはまっすぐに育つのかしら?」と脚の形を気にするママパパも多いですよね。ひどいO脚でも赤ちゃんの脚は自然と治ってきます。いつまでに治るのか、O脚の原因と具体的な時期を赤ちゃんの成長毎に説明します。

赤ちゃんのO脚が自然に治る時期は?月齢毎の脚の成長

ナゼ赤ちゃんはO脚?すべての赤ちゃんがO脚である理由

脚がピンとまっすぐの赤ちゃんはいません。どんな赤ちゃんも皆、多かれ少なかれO脚で、おむつがぴったりとフィットしていますよね。
なぜ、赤ちゃんはO脚なのでしょうか。また、O脚がどのように大人の脚のようにまっすぐに成長していくのか見ていきましょう。

赤ちゃんがO脚である理由

近所を散歩するO脚の赤ちゃん

赤ちゃんがO脚なのは、主に次の2つの理由になります。

胎内での姿勢

赤ちゃんは体を丸めてお腹の中で過ごしていました。生まれたときの体長は50cmほどなので、どうしても手脚を伸ばした状態では、お母さんの子宮の中に入れませんよね。
手脚を縮めた状態でお腹の中に長くいたために、生まれたときの脚は縮まった状態、つまりO脚になってしまいます。

内股の筋肉が弱い

お腹の中で徐々に筋力を増やしてきたとは言え、まだまだ幼児と比べると内股の筋肉は弱い状態です。内股に力があまり入らないので内股の筋肉が弛緩した状態、つまりO脚になってしまいます。

赤ちゃんの成長と脚の状態

パパと休日に散歩する赤ちゃん

赤ちゃんはO脚で普通なのですが、やはり個人差があるので正常に成長しているかどうかを知るために、年齢による脚の状態を把握しておくことは大切なことと言えます。
生まれたばかりの時期から小学校に上がるまでの脚の変化について紹介します。

生後すぐ~6ヶ月は歩く練習をしている

生まれたばかりの赤ちゃんは、くるぶしより下の骨は約70%が軟骨でできています。そのため、無理に立たせたり歩かせようとしたりすると、脚の形が大きく湾曲してしまうことがあります。
この後、ハイハイからつかまり立ちができるようになり、歩けるようになるので生後すぐから6ヶ月までは脚の筋力を高めるためにも、元気に毎日脚を蹴り出す運動をしているか見守りましょう

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6ヶ月~1歳はハイハイで脚の筋肉をつけている

いよいよハイハイを始める赤ちゃんも増えてきます。ハイハイは、脚の筋力を高めたりバランス力をアップさせたりするための大事な運動なので出来るだけ長い間ハイハイをする方が望ましいとされています。
ハイハイは、歩くために必要な要素が、直立姿勢以外は全て入っている運動でもあります。

ハイハイをしないでいきなりつかまり立ちや歩きを始める赤ちゃんがいますが、脚の筋力が充分につかないだけでなく、腰やお腹・背中の筋力増強にも不利になってしまいます。
赤ちゃんがきちんとハイハイをするように、ずりばい(手の力だけを使って前に進むこと)をするようになったら、ママパパがハイハイのお手本を見せてあげるのも良いですね。
平均して生後8~9ヶ月にハイハイができるようになることが多いですが、個人差もあるので焦らず赤ちゃんの成長過程に注目しましょう。

1歳~1歳半は脚の形が整ってくる

いよいよ赤ちゃんが本格的につかまり立ちやあんよができるようになる時期です。ハイハイで充分に鍛えられた筋力を使って、脚の形もかなりまっすぐになってきています。
ですがおむつもあるので、ちょっと脚を開いた姿勢でバランスを取るため、見た目にはまだまだO脚であることが多いです。

この時期は、着地時に脚の裏全体が付くので、大人のようにかかとから脚の前に向かって歩きながら重心移動をさせることがありません。赤ちゃんの月齢と脚のサイズにぴったり合った靴で、外歩きを楽しむようにしましょうね。

2歳~3歳はO脚が治り始める時期

徐々に脚の裏全体でなく、かかとから着地するようになります。とはいえ、かかとの力はまだ弱いので、赤ちゃんのかかとを優しく包み、地面からの衝撃を吸収するような靴を選ぶことが大切です。

O脚は治っていきますが、歩くときにかかとが内側に傾いた状態のまま脚を閉じた姿勢でバランスを取るようになり、脚の形が一時的にX脚になることもあります。

3歳~6歳はX脚が改善

歩いたり走ったり、ジャンプしたりすることができるようになりますので、脚の裏のつちふまずが形成されて脚の指からかかとにかけてのアーチがくっきりとしていき、かかとからスムーズに着地できるようになります。
アーチが完成すると、かかとの内側への傾きも改善され、脚の形がX脚から正常な状態になっていきます。

6歳以降にO脚やX脚が治る

幼児のときに膝が少々外を向いていた子どもや反対に内側を向いていた子どもも、小学校に上がる年齢になると、ほとんどの場合は膝が前を向き、脚全体もまっすぐに見えるようになります。
幼児のときと比べると体を激しく動かして運動するようになりますので、地面からの衝撃を吸収するクッション性に富んだ運動靴を選んであげることが大切です。

ただし、この時期には、脚の形の個人差が大きくなりますので、まっすぐな脚の子どももいれば、膝が外を向くO脚や反対に膝が内向きにくっついてしまうX脚の子どもも見られるようになります。

成長後のO脚の原因は幼少期にある?

赤ちゃんのときはみんながO脚でも、小学校に上がる時期になるとO脚の子どもは減り、まっすぐ脚の子どもが増えていきます。成長後にO脚になる子どもは、幼少期に何か問題があったのでしょうか。

9割以上は矯正治療の必要がない

不思議そうな顔でママを見つめる赤ちゃん

ほとんどの赤ちゃんがO脚からX脚、そしてまっすぐな脚へと成長していきますので、0歳~2歳の頃にひどいO脚だったとしても、格別に心配する必要はありません。「この脚がまっすぐになるのかしら?」と悩んでしまうようなO脚でも、9割以上は矯正治療の必要がない正常な脚ですので、過度に心配しないようにしましょうね。

病気によってO脚になっている場合

病気によってO脚になっていることもあります。赤ちゃんのO脚が病気由来の場合『ブラウント病』と『クル病』の可能性が考えられます。

膝の内側の骨の成長が遅れるブラウント病

『ブラウント病』は、膝の内側の骨の成長が遅れる病気です。脚の外側の骨が先に成長してしまいますので、内側に力が入らない状態になり、結果としてO脚になってしまいます。
原因は解明されていませんが、先天的な要因よりは後天的な要因が強いと考えられており、生後6ヶ月前後のまだ脚の骨が柔らかい時期に無理につかまり立ちや歩行練習をさせることによって、膝に過度の負担がかかったために起こるとされています。

ブラウント病であるのに治療を行わないでいると、年齢とともにO脚の状態がひどくなり、まっすぐに歩けなくなったり、症状が深刻なときには立ちあがることさえ困難になったりすることもあります
そのため、できれば早めに病院で診断を受け、矯正や外科手術などの治療を受けることが必要になりますが、2歳くらいまでは生理的なO脚との違いが分かりにくく、早期発見・早期治療が難しい病気でもあるのです。

ブラウント病であることが判明すると、脚に固定器具を装着したり、整形技師や医師に圧力をかけてもらったり、運動療法やエアバックなどの治療を行うことがあります。
不安なときは、何ヵ所かの小児科を訪れ、セカンドオピニオンをもらって納得が出来る治療を行うようにしましょう。

ブラウント病を予防するためには、やはり無理に早く歩かせようとしないこと、無理に早く立たせようとしないことが一番です
赤ちゃんの早い成長を願って、歩行器やカタカタなどの遊具で、赤ちゃんの能力以上に歩かせたり立たせたり走らせたりしてしまいがちですが、赤ちゃんにはそれぞれの成長スピードがありますので、無理に早く歩かせたり立たせたりしないことが大事です。

また、正常な成長によって立ちあがりの時期に立ちあがっているにもかかわらず、赤ちゃんの体重が重すぎて、膝が体重を支えきれずに弱くなってしまうこともあります
赤ちゃんが成長曲線内の体重で成長するようにミルクや母乳、離乳食の管理をすることも、ブラウント病とO脚予防のためには大切なことです。

ビタミン不脚が原因のクル病

カルシウムが骨に沈着せず、やわらかい骨様組織が増加してくる病気を『クル病』と言います。原因は先天的なものと後天的なものがあり、先天的な理由としてはビタミンDの合成障害やビタミンD受容体の異常、腎尿細管障害、後天的な理由としてはビタミンDの不脚やリンの不脚などが挙げられます。

クル病に罹患すると、O脚以外にも肋骨が前方に飛び出すことでハト胸になったり、肋骨に瘤状の組織が出来たり、低身長になったりするなどの症状が見られるようになります。
他の要因により骨格がクル病の症状に見えている可能性もありますので、一般的には、X線写真により骨の状態を見ることでクル病かどうかを診断します。

クル病であると診断されると、一般的には医師の指示のもと、日光浴や食餌療法で自然治癒を目指していきます
アレルギーのためにビタミンDを食事から摂取できない場合や、紫外線アレルギーのために日光浴が難しい場合は、ビタミンDを体に直接投与することもありますので、必ず医師から指導を受けて治療を行うようにしましょう。

歩行器や無理なつかまり立ちのトレーニングがO脚を悪化させる

歩行器で歩くことに疲れた赤ちゃん

赤ちゃんの骨は柔らかいですので、まだ自分自身の体を支えられるほどに脚の骨が成長していない時期に、歩行器や無理なつかまり立ちのトレーニングを行ってしまうと、脚の形が曲がってしまうこともあります。
最悪の場合には治療を必要とするブラウント病になってしまうこともあるのです。

ですから、赤ちゃんがつかまり立ちを自分で始めるようになるまで、無理に、脚の裏に赤ちゃんの全体重をかけてしまうことがないように注意しましょう
また、歩行器で脚の筋力をつけることを期待する方もいらっしゃいますが、歩行器を使うとあんよに必要な背筋や腹筋が鍛えにくくなります。
それに加えて、常に歩行器のガードで体をまっすぐに支えますので、バランス感覚も育ちにくくなってしまいます。

歩行器よりはハイハイを行う方が、赤ちゃんの運動能力を正常に成長させますので、できればハイハイをしっかりと行うように見守っていきましょう。

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O脚が強く出ているときの対応

無理なつかまり立ちや歩行器の過剰使用はしていないにもかかわらず、赤ちゃんのO脚がひどいときは、どうすれば良いでしょうか。

早期矯正は修正しやすい

あまりにもO脚がひどいときや脚の曲がり方が左右で異なるとき、不自然な脚の動きを見せるときは、まずは小児科に連れて行って、医師の診断を受けるようにしましょう。正常の範囲内のO脚なのかどうか、専門家の目で判断してもらうことができますよ。

また、病気などの理由以外でO脚になっている場合は、赤ちゃんの脚に負担をかける行為(無理なつかまり立ちや歩行器の使用)をやめたり、ハイハイの訓練をしたりすることで、正常な成長へと修正することができます。

赤ちゃんの脚の健やかな成長のためにできること

赤ちゃんの脚をまっすぐにすることは、見た目を良くするだけではなく、早く走れたりまっすぐに立てたりと言った『運動機能を高めること』と『姿勢を良くすること』に繋がります。
赤ちゃんの脚がまっすぐに成長するために、少しでも協力したいですよね。

ハイハイをしない赤ちゃんにはハイハイをしてみせる

子供のためにハイハイをするパパ

いつまでもハイハイをしたがらない赤ちゃんには、生後6ヶ月頃から、ママパパがハイハイを実際にしてみせるのも良いですね。赤ちゃんが「楽しそう!」と思ってくれたら、ハイハイを自分でもしようと思うかもしれませんよ。

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外歩きが楽しくなる靴を用意する

外歩きが楽しくなると、歩ける距離が増えるだけでなく、赤ちゃんの脚の筋力や背筋・腹筋、バランス能力もグンと成長します。ですが、赤ちゃんが「外歩きは楽しい!」と感じるためには、外で歩いたり飛んだりしても脚が痛くなりにくい靴が不可欠です。

脚の長さだけでなく幅や甲の高さも測る

靴のサイズと言うと、12cmや13cmなどの脚の長さ(脚長)だけを思い浮かべるかもしれませんが、脚の幅や行の高さ(脚囲)も大事な要素です
同じ12cmの靴でも、脚の肉付きが良い赤ちゃんなら脚の幅や脚囲が大きくなりますし、反対に脚に肉があまり付いていない赤ちゃんなら、脚長が合っていても靴が脱げてしまうかもしれません。
たくさんの靴を履いて、ぴったり合った一脚を選ぶようにしましょう。

脚裏のクッション性が高いものを選ぶ

赤ちゃんの脚裏には、まだつちふまずが完成されていませんので、長く歩くと脚全体が痛くなってしまいます。クッション性が高く、地面からの衝撃を吸収してくれる靴を選ぶようにしましょう。